気分障害の人との接し方 「うつ病・双極性障害(躁うつ病)との違い」
普段私たちの心の変化や気分はその時々の状況によって変わります。
例えばうれしい出来事によって気分が上昇したり、
逆に嫌なことがあれば気分は沈んだりします。
けれど、身の回りで起きた出来事に関係なく、
落ち込んだ気分が続いたり、突然ハイテンションになったり、
自分で自分の感情をコントロールできなくなることがあります。
このような状態が続き、普段の生活や人間関係で支障がある場合、
「気分障害」という心の病であるかもしれません。
「気分障害」は気分の落ち込みが一定期間続く「うつ病」と、
うつ状態とテンションが高い状態が繰り返し現れる「双極性障害(躁うつ病)」があります。
うつ病は、気分が沈んでしまう病気です。
楽しい・嬉しい・喜びなど、ポジティブな感情が影を潜め、
逆にそれまでは楽しいと思えたことが全く面白いと思えなくなったり、
罪悪感が増して、自分は価値のない人間だと思い込んでしまったりします。
うつ病は心の落ち込みだけでなく、睡眠障害や食欲減退または過食、
疲れが取れない、倦怠感など身体的にも症状が出ます。
双極性障害は過剰なほど高揚感が現れる病気です。
うつ状態と躁状態が数日から数週間ごとに交互に繰り返し現れたり、
同時に現れたりします。
躁状態のときは他人が口をはさめないほど口数が増える、
落ち着きがなくなって怒りっぽくなったり苛々したりする、
自信過剰になる、睡眠時間が少なくなっても疲れずに高揚感が続く、
などの症状が出ます。
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気分障害の人の家族には理解(知識)を持ってもらいたい
以前、私の妹が双極性障害だった時期がありました。
高校生の時からうつ病になってしまった妹は、はじめ躁状態はありませんでした。
二十歳を過ぎた頃から急に躁状態が著しく出現し始めました。
私も両親も知識が全くなく、心の病=うつ病で、気分が落ち込んだ状態だけが
症状だと思っていたので、躁状態の妹を見ると、うつ病が治ったように見えました。
うつ状態がひどかった時期は自宅に引きこもり、食欲もなく、
人と接することを極端に億劫がっていたのに、躁状態になると
休日を取らずに何日も働き続け、自信に満ちあふれ、意見が合わない
同僚を強い言葉で罵っていました。
姉妹で会話する時も、どちらかというとゆっくり低い声で話す妹でしたが、
躁状態の時は笑ったり怒ったり、感情の起伏が激しく、早口でしゃべり続けていました。
一番変化が大きかったのが服装とメイクでした。
うつ状態の時は全てが億劫でノーメイクで眼鏡、寝巻のまま何日も過ごしていましたが
躁状態になると極端に奇抜な格好とメイク、香水の量が増しました。
躁状態がしばらく続くと決まってまたひどいうつ状態が巡ってきました。
うつ病と双極性障害は治療法が少し異なります。
また使用する薬も異なります。
妹はうつ状態になると薬を貰いにいき、薬不可欠の生活を送っていました。
もしその頃の私がもう少し気分障害についての知識があったら、
躁状態の時も治ったとは判断せず、長期的に妹の心の病を見守って
あげられたのではないか、と思っています。
うつ病は比較的、双極性障害より周囲から見て分かりやすい病だと思います。
テンションが高い状態だけを見ると元気になったか、
元々の性格のように思われるかもしれません。
でももし気分障害であれば治療が必要です。
以前にも書いたことがありますが、
病んでいる時の言動は本来の本人の姿とは異なります。
落ち込んだ状態に「怠けている、だらしない、もっと頑張れるはず」と
責めてもあまり効果がありませんし、逆に躁状態を無理に落ち着かせようとしても
難しいです。
理解をもって適切な治療を受けてほしいと思います。